レオパレス21の問題
この度、レオパレス21が携わった共同住宅の約1,300棟において、界壁だけでなく、天井や外壁の耐火性、防音性についても問題が明らかになった。
全3万9,085棟中、優先調査対象の8シリーズ約1.4万棟については調査が終わっているが、残りの2.5万棟については調査がこれからとなっている。
3月末までに約8,000人に対して、退去勧告を行うこととなっており、レオパレスは早急に補修工事を行う予定だ。これにより特別損失の累計は430億円となった。
多方面からニュースをかいつまむとこんな感じである。
レオパレスは翌日ストップ安だった。
多額の改修工事費
私がこのニュースを見て、注目したのは改修工事側の方だ。
内装工事においては、天井ボードをはがし、界壁を設け、天井ボードを耐火性のある素材に変更する。壁についても防音の問題ではあるが約770棟で遮音性が守られていなかったので交換工事となる。
天井と壁のみクロスを張り替えるわけにはいかないから、張替え工事するとしたら、居室すべてになりそうだ。
しかも住んでいる人を退去させてリフォームするのだから、居住期間が短い人ならまだしも、長年住んでいた人の場合、居室内は相当な痛みがあることが予想される。
次の人を住まわすには住宅設備の交換や床工事も発生しかねない。
そうなると2018年5月の発表では1棟10戸のアパートで界壁交換に一棟60万円との発表だったが、石膏ボードやクロスの張替えも加わるので、問題点のみの改修で一棟最低200万円以上の工事になるのではなかろうか。
住宅設備や床工事も併せて行うとすると更に工事費はかさむ。
そして外壁工事も耐火性の部材へと交換のため、自社保有の物件はもはや壊した方が早い(解体は1棟200万くらいだろう)
オーナさんが持っている物件にはまだ抵当権がついているうえ、他人物だろうから、壊すわけにはいかない。
補償や賃借人の引越し費用も特損に含まれているのだから約400億円で足りるのかという疑問もあるが、こうした工事費をニュースを見ながら頭で積算していたら、ある銘柄を思い出した。
リペア業界No.1 自社技術者1,000人のキャンディル【1446】
前置きが長くなったが、全国56拠点、自社技術者1,000人以上、協力業者430社でリペア業界No.1のキャンディルという会社がある。
まずは業績から
次に株価。直近2月9日時点で1016円となっている。
【時価総額】51億円
【発行株数】503万株
【浮動株比率】8.6%
【浮動株】43万株
【PER】28.77倍
【PBR】1.79
最近までサイバーステップ社ばかり見ていたので、浮動株の少なさにときめく。
株価は高いところで上場したものの、
現在は一度底を打った形で約1,000円の時価総額50億円前後で落ち着いている。
分野のわりに、若干PERが高い気もするが、同社には18年9月末現在、約30億円の暖簾があり、年間約2億円ずつ償却している。
業績は各事業好調のようなので、
のれん償却前の純利益を加味した株価なのかもしれない。
同業界の構造、ゼネコンは仕事を取りに来るか?
今回は問題は内装工事が中心でもある。内装系の工事会社というのは、数えきれないほどある。基本的には社員数人の親方企業が多い。独立して一人で仕事をやっているが得意分野を持っていて、一次請けを取れる会社の下請けに回り、自身は自営業だったりする。いわゆる職人の世界だ。SEの世界の構造に似ているかもしれない。
※違ったらごめん。
レオパレスとしては、今回の問題はあまりにも大きいので、一棟ごとに内装改修工事の会社を選定して発注するのは、お金だけでなく、非常に時間と労力がかかる。
※ちなみにレオパレスは自社保有していたアパートをファンドにバルク売りしてるくらいだから修繕もどっかにまとめて発注するんじゃないか??
であれば、こうした大規模リコールを一次請けで受注できるのは数多のネットワークを持つ大手企業となる。
ゼネコンという選択肢もあるが、あくまでマンションビルの新築工事や公共事業が主になるので、本件のような一棟当たりの受注額が小さい内装雑務工事は得意でない気がする。また彼らは1~2年先の工事受注で手一杯だろう。
大日本印刷の不良クロスによる大規模リコール
IR資料によれば、キャンディル社は大日本印刷の不良クロスの大規模リコールのときも仕事を受注していることが確認できる。
同リコールはキャンディル社の決算書では「リフィット」という事業に該当し、2017年9月期の売上10億円をピークに、18年9月期が5億円、そして19年9月期が2.6億円の予想となっている。
個人投資家向けへの説明会動画(16分~20分あたり)では、社長が「2.6億円の売上は保守的」と発言している通り、すでに大日本印刷のリコールを含めた突発的な工事受注は落ち着きを見せていることが分かる。
しかし、レオパレスの工事については、織り込まれていない。
同社が受注できるかどうかは分からないが、動画では社長が、大規模リコールが発生したときに当社は全国対応できる、と会社の強みを説いている。
まさにレオパレスの問題は大日本印刷のクロスリコールの問題と同じで、全国一気に、一定の期日までに修繕を行わなければならない。国交省もお怒りのご様子だ。
しかも、期日が迫られている工事というのはオリンピックの建設工事と同じで、人の確保が最優先となり、受注側は単価を上げやすい。
※国立競技場が、なぜあんな金額なのか分からないが、そういうことだろう。
同社の粗利は18年9月期を見ると約35.6%となっている。
この粗利は様々な事業が合わさった数字なのだが、各事業ごとの粗利は確認できないため35%を指標とすると、レオパレスの工事で仮に10億円でも受注できれば、粗利率を変えずとも粗利が3.5億円増える計算だ。また、仕事が増えたからといって販管費が増えるわけでもないので、粗利増はそのまま営業利益に乗るような事業構造である。
※予測値10億円としたのは、あくまで仮
IR動画では「突発的なリコールが発生しても、原価で処理できる(2.6億→10億になっても)」との発言も確認できることから、会社としてもかなりの体力(人の力)があるとも読める。
あくまでこの話は皮算用だ。
残る2.5万棟の未調査物件でも問題が発生するとなるとレオパレスという会社がどうなるのかも分からないが、内装工事系の業界はこれから相当美味しい思いができるだろう。
玉突きで業界全体が慢性的に忙しくなり、あわよくば他の工事の単価も上げられるとも考えられる。
工事して終わりか?
また、レオパレスは改修工事完了しただけでは終わらないのではないだろうか。
今後建築する物件や、管理している物件で継続して第三者に点検、アフターフォローしてもらう仕組みもコーポレートガバナンス上、作らなければならない可能性がある。
そうした点検についてこそ、同社が得意とする分野である。
先に添付した取引先一覧のIR資料を見ると、飯田グループの一建設や旭化成、大和ハウスなど有名大手デベロッパーが名を連ねている。
有価証券報告書によると大東建託に至っては少額ではあるが、同社は大東建託株を少々保有しているようだ。
のれん30億円、年間2億円の償却が重たいようにも見えるが、”特需銘柄”という思惑期待で乗ってみるのも良いかもしれない。
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