3810サイバーステップの決算について「書こう、書こう」なんて思っていたら、なかなかまとまった時間が取れず、佐藤代表の株券売却のお知らせの日が来てしまった。
長年、同社を追いかけて決算等、数字をチェックしてきているが、経営陣による売却が、出来高の多いうちにあるだろうなぁとは思っていた。。
決算から日もたってしまったので、思い描いていたブログの内容はやめて、今回の経営陣の売却について触れたいと思う。
なぜ経営陣が売却したか
今回、佐藤代表が売却したのが43万株、取締役の小川氏が4.4万株の売却。小川氏は佐藤氏に比べると売却ボリュームが小さいので割愛するが、なぜ佐藤氏が5.81%も売却しなくてはならなかったのか。
理由は100万株の第29回の有償ストックオプションの行使期限(8月31日)が迫っていたからだと思われる。(もう一つ8月末行使期限のSOがあるが、それも少ないので割愛とする。)
第29回の有償SOの株式の払込価格が1,094円。
対象者は取締役5名及び従業員1名。同SOは佐藤氏への配分が一番大きいのが想像できる。また従業員というのは、創業者だが今は役員から(あえて)外れている浅原氏だと思われる。
それで、佐藤氏が現物株43万株を売却しないといけなかったのは、単純にSOを行使するだけのお金を手元に持っていないからだ。むしろ借金して自社株を持っている珍しい経営者だ。
佐藤氏の持株原価と手元に残ったお金
非常にあざとい見方なのだが、SOは乱発するし、市場内外で株券を売り買いし過ぎて自社株で儲けてるのではないかと株主を不安にさせるため、せっかくだから、売却してもそんな儲けていないことの根拠をきちんと書いておくことにする。
まず佐藤氏の現金による持株原価は697円だ。
これは大量保有速報を見れば分かる。今日2件同時に出てきたので、あえてどちらもリンクを掲載しておく。
7月23日の3ページに自己資金による株券の取得総額が書いてあり、211,615千円となっている。そして24日の4ページを見ると自己資金による取得額が51,175千円になっている。差額は160,440千円だ。
24日→25日にかけて売却した株券の枚数は23万株。
160,440千円÷23万株=697円(1株当たり)という計算になる。
ライツオファリング時に借りたお金(上記画像)もあり、借入による原価も計算できる。知りたければチョイっと計算すれば分かる。
手元に残ったお金は?
大量保有速報には市場内で売却したためか、売却単価は書かれていない。
24、25日のチャートを見ると、特に25日はひたすら下げただけだったので、売却価格平均が1,200円にもなっていないと思われる。
とりあえず1,170円としよう。
1,170円で43万株売却すると約5億円となる。
普通の経営者なら持株原価が低いので、売却総額≒利益なのだが、サイバーステップは違う。長年の有償ストックオプションで社長の持株原価はなんと先の通り697円だ。
697円×43万株で約3億円の原価分を売却した計算になる。そうすると売却総額5億円から3億円を引くと、彼の利益は2億円ということになりる。
つまり、売却総額5億円から税金を引いた額が佐藤氏の手元に残った計算だ。
個人資産を築くために売っている?
佐藤氏の手元に4億円程は残ったが、これは彼が何か個人的に使いたいわけではなく、有償SOにて会社に個人資産(?)を払い込み、更なる先行投資や会社の財務を安定させるためと思われる。
過去の行動を見ると、19期の決算短信13ページを見ても分かる通り、SOによる会社への払い込みが約3.4億円ある。
計算すれば、過去佐藤氏が市場内外で売却した現物株は概ね次のSO行使へと消えていき、会社への入金となっている。
市場内外で売却→手元のお金はSOにより→会社へ入金。
決して個人で資産を築き上げるために株券を売却しているわけではない。
しかしEPSの希薄化は生んでいるため、投資家を困らせてないとは言えない。
ただし資産を築くためではないというところは理解したい。
第29回SOの枚数はいかに
8月31日が期限なので、近いうちに今回の売却で手元に残したとみられる約4億円で佐藤氏が保有するSOを行使してくるのは間違いないと思われる。
メリットとしては流動資産が増えるため、財務バランスがより健全になることが挙げられるが、デメリットとしてはEPSが下がることだ。株主にとっては痛い。
昨年から第29回のSOはおそらく順次行使されており、ロードランナーという佐藤氏の資産管理会社にも移動させているように見えるため、第29回SOが残り100万株全部残っているとは思えない。
4億円で払込価格1,094円を割ると約36.7万株となる。
佐藤氏に8月末期限のSOがこれだけあるのかは不明だ。
まだSO行使の報告書も出ていない。
深読みだとしたら、私のブログは滑稽だが8月末のSO行使のために自らが持つ株券を売却したのなら、SO行使の報告書は出ても、経営陣による売り圧力は当面ないと思われる。
EPS低下によって手放すのであれば、それは仕方がないが、今年営業利益率10%を達成できる、もしくはその兆しがあるのであれば、短期的需給面の不安は終わったも同然なので保有もありではなかろうか。
機関投資家は最大の売り圧力の担保を失った日
機関投資家の空売りが50万株程あったかと思うが、機関投資家が安心して売りを入れられたのは、8月末までに必ず佐藤代表の株券売却があったからでもある。
今回が佐藤氏による市場売却が最後とは言えないが、決算補足資料にある営業利益率10%を意識するなら、空売りするには非常に危険な水準となる。
過去①売上100億円、②月次売上10億円という決算補足資料で掲げてきた目標は必ず達成してきたし、17~19期の営業利益率を見ると、決して達成できない水準ではない。
明日からどう動くのかー。
需給面においては短期的に弱いところだが、収益性の部分や8月1日からの「ふなっしー」効果など材料をどう判断するか非常に面白い株であると思っている。
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